私たちは日本の介護離職をゼロに導きます
介護離職問題の概要
2000年に始まった介護保険法には「家族介護の限界を外のサービスを活用して補う」という概念がある。
つまり家族介護者が一人は要るという考え方だ。
核家族化による兄弟数の減少、生涯単身者の増加、女性の社会進出による共働き世帯の増加、こういった多様な生き方、価値観が市民権を得た現在、
介護保険法の考え方で介護をせざるを得ない状況になった方々が次々と会社を退職した。これが介護離職だ。
そしてついに、平成23年10月から平成24年9月までに介護・看護を理由に離職・転職し人数は総務省の調べによると101,100人となった。
平成25年の厚生労働省の雇用動向調査によると介護・看護を理由に離職・転職した人を年代別に見ると全体では55歳から59歳が16,400人(6.18%)と最も多く
男性では55歳~59歳、女性では45歳~49歳が最も多い。
また、その3割が企業内では要職についていることが分かった。一般的に年収の多い層である。
介護離職の社会問題化
彼らが離職するとどういうことが起きるのか。
会社は経営を左右させるマネジメント層を失うことになり、一時的にでも経済活動に支障をきたす。
また国は大事な財源である税収入を失うことになる。
そういった背景に加えて、団塊世代といわれる方々が2012年から年金受給が始まっており、2017年からは順次70歳を迎え、
2022年から順次、後期高齢者になっていく。つまり社会保障費が大量に必要になってくる、なっている現状がある。
そういった背景から2015年9月24日第3次安倍政権が新三本の矢のひとつに「介護離職ゼロ」を掲げた。
介護離職対策をすることが国策として掲げられたのだ。
国策の課題と民間の課題
国を挙げて解決しなければならない課題として国は
「少子高齢化による労働供給減、将来に対する不安・悲観」を挙げている。
その上で「介護離職ゼロ」の対策として
・介護する家族の不安や悩みに応える相談機能の強化・支援体制の充実
・介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備
という具体策を掲げている。
大きな枠組み、方針付けを国が行うことによって企業や個人、地方自治体の「責任」が「義務」に変わる。
とはいえ、制度整備だけが介護離職を防止できるものではない。
国が制定する制度をいかに個人レベルまで落とし込み「介護離職をしない」意思決定まで導けるか。これが最大の課題である。
家族介護者の現状
介護に関する法律は現在「介護保険法」と「育児・介護休業法」がある。
介護保険法は介護者のための法律ではない。介護事業者および要介護者のための法律である。
また「育児介護休業法」においても、介護者個人を守る法律ではない。
つまり、介護のために会社を辞めて、収入源を失い、社会的地位を手放し、社会参画の機会を減らしても
セーフティネットはない。
現在の日本では介護者は誰からも何からも守られていないのである。
だから安易に介護離職をしてはいけないのだ。
介護離職するのも、仕事と介護を両立するのも個人の意志である。
企業や国や行政や介護業界は支援をするだけである。
どんな理由があって介護離職しても、現在では「自己責任」という言葉で納められてしまう。
当法人のミッション
介護を人生における特別なイベントとしてとらえるのではなく、
介護をしなが働くことが当たり前の社会構造になれば、介護離職は自ずとなくなるであろう。
国が旗を振って介護離職ゼロを提唱しても、その具体策については机上の空論になりかねない。
国ができること、企業ができること、介護業界ができること、そして個人ができることはそれぞれ違う。
当法人は「介護をしながら働く」時代のパイオニアの介護経験者として
介護離職を「いま、この瞬間」の問題としてとらえ、
現在進行形の介護者、明日の介護者を支えつつ、未来の介護者へ「介護をしながら働くことが当たり前の社会」を引き継いでいく。
目的は「介護離職ゼロ」
その実行部隊として企業と個人に対しリーダーシップをとっていく。
その経過、結果において、介護業界の底上げへの相乗効果も期待できると考えている。
当法人のビジョン
当法人は下記の5つをビジョンに掲げ実行していく。
1)介護経験者による現場からの声を元に「介護離職防止対策評価基準」を制定し企業における「介護離職ゼロ」対策の促進を図る。
2)「仕事と介護を両立できる職場環境」整備促進のシンボルマークの「トモニン」との共存を図る。
3)社会人に「介護をしながら働くことが当たり前」の啓発を図る。
4)「介護離職防止対策コンサルタントを育成し、上記のビジョンを達成に導く
5)介護離職者に対し「介護離職防止コンサルタント」資格取得を促進し、介護経験を生かした新たな雇用の創造を図る。