一般社団法人介護離職防止対策促進機構 > 活動実績 > 第2回介護離職防止対策シンポジウム

第2回介護離職防止対策シンポジウム

平成29年3月6日(月)
経団連会館(東京・大手町)にて
「第2回介護離職防止対策シンポジウム 介護離職防止対策 Before, After and the Future~労使で取り組む企業の事例~」
を開催いたしました。

今回は労(人事)使(従業員)での取り組みにクローズアップしました。
昨年8月の第1回に続き、総勢約130名の皆様ともに企業における介護離職防止対策を考えることのできた有意義な時間になりました。

第1部は代表理事である和氣のセミナー「企業における介護問題~介護離職防止対策の第一歩~」です。
「介護保険の一般常識化の必要性」と「介護環境の整備の重要性」について訴求し、その手順をお伝えしました。
また、「知識を行動に変える」テクニックとして「介護になったら地域包括支援センター」を全員でご唱和いただきました。

さらには「介護保険の一般常識化」は企業の社会的責任において取り組むべきことであり、

いま始めなければ、この先10年後も何もかわらないと危機感を訴えました。

第2部は介護離職防止に労使で積極的に取り組む企業の事例発表です。

NECネッツアイ株式会社様
人事部と新規事業部従業員のお二人にご登壇いただきました。
「日本型テレワーク」として、コミュニケーションアプリの開発と育児中従業員に対してのテレワーク実証実験の結果発表をいただきました。さらには働き方改革を促進するために、2回目の実証実験を育児中の従業員に加え、介護中、シニアと対象者の幅をひろげ取り組んでいる様子をご報告いただきました。

また一方で今後増えてくるであろう「介護しながらの働き方」を時間管理の見える化を新規事業として取り組む予定であることをご報告いただきました。

株式会社NTTデータ様
人事部と社内制度を利用して仕事と介護の両立をした従業員のお二人にご登壇いただきました。
遠距離介護を、テレワークと裁量労働で乗り切った実例です。

人事部からはテレワーク導入の経緯と両立支援の経緯をご報告いただきました。また、今後の展開として「情報提供」に力点をおいた取り組みを考えているとのことでした。

その「情報提供」の一環として、「社員のニーズ」があり、アンケート結果から「経験者の話を聞きたい」「遠距離介護に不安を持っている」従業員が多いことに気づき、介護中の従業員にその体験談を話してもらう機会を作った、などの工夫を教えていただきました。
今回は、その社内セミナーでもご経験談をお話している従業員様にご登壇いただき、会社の制度を利用しながら、どのように遠距離介護を乗り切ったのかを教えていただきました。

経験者の大変貴重な経験談は参加者の心に深く響き、目頭を押さえる方々も少なくありませんでした。

魂を削りながら発する言葉には、従業員のお父様への愛情を強く感じたひと時でした。

株式会社はなまる様
ケアラー支援プロジェクト員と人事部のお二人でご登壇いただきました。
人事部からははなまるレディスプロジェクトを客観的に見守っていた様子と、プロジェクト員の熱意に動かされた経緯をお話いただきました。また、人事部とプロジェクトの役割分担なども教えていただきました。

はなまるレディスプロジェクトのリーダーから、そのプロジェクトの経緯を数々のご苦労とともにお話いただきました。ご自身もケアラーであったため、「介護離職」が頭をよぎったこともあったそうです。しかし、会社の制度にたどり着き働きつづけることを選びました。そして、その制度が周知されていないことが事実なのか、店舗を足しげく通い、現場の声を聞き、状況把握に大変ご苦労されたようです。また有志団体がゆえに途中心が折れることもあったようです。

しかし、社会の風潮もありセミナーを開催することができ、その結果、参加者から「他の人にも聞かせたい」「またやってほしい」という声をもらったようです。そしてついに「ケアラー支援」はダイバーシティ推進室の設置までこぎつけることがでいました。

ボトムアップのご苦労が伝わる発表でした。

第3部は代表和氣のコーディネートにより、登壇発表した企業とディスカッションを行いました。
会場の人事・ダイバーシティ担当者・労働組合などの参加者からも多く質問や発言の手があがり、活発な意見交換が行われました。

テレワークへの興味関心が高く、業態によっては新しい働き方として普及していく、そんな予兆を感じました。

また取組の周知についての議論も興味深かったです。

店舗が全国にあり、その店舗で働く従業員は少数。となると、セミナーなどの参加は難しいし、制度の周知にはどのような工夫が必要なのかというものです。

専従の組合員が店舗に出向き啓発を行っている企業、広報紙を活用して啓発を行っている企業など、会場からコタエがでるという場面もあり、会場一体となった有意義な意見交換ができました。

参加者の感想を少しご紹介いたします。

・テレワークに焦点を当てて頂き、そのルールや働き方のあり方にまで、言及いただけた点が大きな収穫でした。『介護支援』という点で、どのようなテレワークのルール作りをすれば良いのか議論の場を頂ければと思いました。
・介護以外のテーマも貴重なお話を伺えてよかったです。テレワークについては業務とプライベート切り離すことは改めて重要だと認識しました。パネル企業の事例はとても参考になりました
・実体験を話していただいた内容が表面的なものではなく非常に理解が深められた。
・具体例を伺いできたこと。3者三様の労使の組み合わせでお話を伺えたこと非常に勉強になりました。まずは「介護保険の一般常識化」という部分から着手していこうと思います
・セミナー実施だけで満足してはいけないと痛感しました。興味のない従業員に介護について意識してもらう工夫や環境づくりにすぐにでも着手していくと思います
・他社の取り組みが非常に参考になった。テレワークやロールモデルとなる社員からの発信は重要性等勉強になりました。次は300人以下の企業(中小企業)の取り組みを聞いてみたい

 

シンポジウム開催に当たっては多くのご意見やご協力をいただきこの場を借りて改めてお礼申し上げます。

本当にありがとうございます。
KABSでは今後も継続的に当機構にしかできない 介護離職防止対策シンポジウムを企画・開催していきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

末尾で恐縮ですが

当機構の想いに共感いただき、多大なるご支援を賜りました経団連様には

理事一同、心より感謝申し上げます。

http://symposium.kaigorishoku.or.jp/part2/